業界再編につながる分析だと面白かった

大前さんは、僕は比較的好きな人です。
全部の意見賛成じゃないけど(^^;僕が気づいていないことをよく指摘してくれる。

会社の規模が大きくなってくると事業構造も多角化してくるのが普通だ。電鉄会社が百貨店や遊園地を経営したり、食品メーカーがレストランチェーンを手がけたり、といった具合にだ。
しかし、傘下のすべての事業が利益を生んでいるとは限らない。もうかる事業もあれば赤字の事業もある。それが普通のことだ。普通ではあるのだが、しかし赤字の事業をそのままにしておいていいわけではない。そこで今回はNECを例に不振事業を決着させる手法を検討してみたい

http://www.nikkeibp.co.jp/news/biz08q3/584420/

NECはいわゆる"選択と集中"は割とできている会社だと思います。昔は"コンピュータ&コミュニケーション”なんて言っていたくらいで(+半導体が事業ドメイン)、もともとそんなに手を広げていない。
僕はそういうイメージがあるので、どういう分析をしてくれるのか、楽しみなのですが。

続いて、不振事業について一つずつ検証していこう。最初は携帯電話端末だ。

全然検証になっていないような気がするんですけど(^^;
シェアのグラフで僕が着目しているのは「富士通に抜かれている」ということ。NEC富士通に対してはもう長いこと優位に立っていたはず。家電系のシャープやパナソニックより富士通の方がベンチマーク相手として向いていると思います。富士通のケータイは、ちょっとパソコン詳しい層あたりに昔から根強い人気があって、そういう客層を手離していない気がします。ブログとか見ていても人気ありますよね。

ソフトの一時期の開発能力の低下、カメラなど家電系機能の弱さ、デザインの低下などNECの携帯の不振はいろいろありますけど、僕が一番に思うのは”ターゲットが絞りこめていない”ということのように思います。
もうシェアNo1じゃないのだから、顧客を絞り込むべき。906/706ですごいいっぱい機種出したのは、たぶんNEC自身がそのあたり見定めようと考えているのだと思います。
うまく行けば、3番手当たりにはなれるんじゃないかな?

さて、NEC本体のPBRは1.03なのに、NEC-ELは1.51と本社よりも高い。これはNEC-ELが外資の株買収攻勢に遭っているからだ。NEC-ELの株は、65%をNEC本体が持っている。そして6.03%を所有している米投資ファンドのペリー・キャピタルがNEC本体に対して「NECNEC-ELは親子上場でよくない。25%まで我々に売ってくれないか」と、1株あたり5000円という好条件を出してきたのだ。売却すれば、NEC本体のもつ株式の割合は50%以下になる。そして、5000円のオファーを受けていれば1200億円近い資金調達ができたはずである。

この理由は僕も不思議に思っている。そもそもNECエレも上場企業なのにNECが65%も株を持っているものだから仮に市場に出ている全株買い占めてもNECが2/3持っている以上、経営にそんなに口を出せない。25%までという条件で投資してくれる会社があるのなら喜んで買ってもらえばいいのに。

 「株式市場との対話」という言葉をよく聞くが、いま日本の巨大企業の経営者に求められる「判断」というのはこうしたものである。

うーん。単に「不振事業は高く買ってくれるところに売ってしまえ」といっているだけのような気がする。

NECが国内でいまだにパソコンでシェアがあるのは役所や工場向けFA製品で強みがあるからだと僕は思っていて、これが外資に売られてもそのまま継続できるとは、ちょっといえない気がする。NEC自身はさほどハードにこだわっていないのに、お客さんの都合に合わせてそろえている。現実にNECも生産は外部に委託しているし。


大前さんが指摘しているNECの弱さは「時価総額が低い キャッシュがない」で、その原因も、「収益性のある事業であげた利益をほかの赤字部門が吸い取ってしまう」という、これまた何十年も前からこの会社が言われていることそのまんまの感じで目新しさがない。


大前さんの分析で不満なのは、子会社に関する分析をばっさり切ってしまっているところ。
"電鉄会社が百貨店や遊園地を経営"するのは、百貨店や遊園地に行くために電車に乗ってもらうためで、みんながクルマで移動するならいらないでしょ、的な視点を楽しみにしていたんですけど。
ま、ワザといってないだけ、という気もします。



そんなに儲けていなくて、会社にお金もないけど、働きやすさでは上位に来る、というのは考えようによってはとってもいい会社だと思うんですけどね(^^
あとはNEC本体が変な会社に買われちゃわないようにお祈りしてます。

P.S.
この記事を書いた直後、ソニーNECオプトアークがソニーに買収されることが発表になりました。